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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

ケンタッキーフライドチキン公式アプリ(前編):「ウェブアプリ」の典型事例 異業種間競争に勝ち抜くために必要な改善点とは?

 Post by MML編集部

今回はファーストフードチェーン大手の「ケンタッキーフライドチキン」のアプリについて、前後編の2回で取り上げます。

前編では同社を取り巻く環境やアプリの基本機能等について触れ、後編ではその他の機能や、同社アプリの課題点と改善の方策について触れて参ります。ぜひご覧ください。

ケンタッキーフライドチキン:ファーストフード業界2位 独自の「フライドチキン」業態で1,180店舗を展開

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ケンタッキーフライドチキン(以下ケンタッキー)を運営する日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社は、ファーストフード業界で2位の売上規模を誇る業界大手です。

1970年11月に名古屋市内に国内一号店を出店しており、これは1971年上陸のマクドナルドや、1972年創業のモスバーガーロッテリアよりも早いスタートとなります。

以降順調に店舗数を拡大し、現在では国内1,180店舗、売上1,145億円(2012年度)の規模に成長しています。「フライドチキン」という独自路線で消費者に広く認知されているだけでなく、宅配ピザの「ピザハット(365店)」ブランドも擁し、両ブランド合計で1,500店以上を展開しています。

業界、企業状況:コンビニとの競争激化で業績予想を下方修正 新業態の開発や経営体制の刷新も

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近年の業績は、2010年をピークに低下傾向が続いています。理由として、これまでケンタッキーの独壇場であった「フライドチキン」市場に「ファミリーマート」「ローソン」等の異業種参入が相次ぎ、シェアを奪われている点が指摘されています。

直近2013年3期は業績予想を大幅に下方修正しており、その要因として、異業種との競争のほかに、人件費および材料の高騰や、販促施策にかかる費用増が挙げられています。

それらの環境変化のなか、ケンタッキーではこれまでのイートインスタイルの店舗展開にこだわらず、唐揚げテイクアウト専門の「鶏から亭」など新業態の開発などで業績の立て直しを図っており、業種業態の垣根を越えた競争に拍車がかかっています。

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また2月1日の報道では、2014年4月の持ち株会社移行に伴い、2006年から8年にわたり経営の指揮を執ってきた渡辺正夫氏に代わり、親会社である三菱商事出身の近藤正樹氏を新社長に迎えることが決まりました。持ち株会社化によりブランド別に組織を分け、近藤氏がケンタッキーの代表も兼務することで、経営の迅速化を図るものとみられます。

ケンタッキーの主な販促施策:TVCMからSNSまで幅広く展開 オウンドメディアにも注力

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ケンタッキーフライドチキンでは、TVCMから公式スマートフォンアプリを始めとするオウンドメディアまで、さまざまな販促施策を行っています。

TVCMでは年間を通し有名タレントの出演するCMを放映しており、特に最大の需要期であるクリスマスシーズンには大量のCMが放映されています。「クリスマスにケンタッキー」という文化は国内消費者に広く浸透しており、年間売上の1割強をこの時期に稼ぐと言われています。

オウンドメディアとしては、会員向けウェブサイトとして「カーネル通信」を展開しており、週2回のメールマガジンが配信されているほか、2012年4月には公式アプリを公開しています。

また、2011年には同じ三菱商事子会社であるロイヤリティマーケティング社が運営する共通ポイントサービス「Ponta」に加盟しており、店頭での会計でポイントを貯める/使う事が出来るようになっています。

2013年からはPonta会員向けに「カーネルPontaクラブ」が展開されており、Pontaポイントを軸とした販促を行う新たなオウンドメディアとして注力されています。

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そのほかSNSにも力を入れており、facebookTwitterの公式アカウントのほか、LINE公式アカウントなども提供されているようです。

公式アプリ概要:スマホ向けサイトとの共通コンテンツの多い「ウェブアプリ」?会員登録なしで利用が可能

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同社が「ケンタッキーフライドチキン公式アプリ」を公開したのは今から約2年前の2012年4月。モスバーガーマクドナルドがそれぞれ2010年の9月12月にアプリを公開していたことを考えると、リリース自体は後発であったと言えます。

機能自体は、一般的なO2Oアプリ機能である店舗検索やメニュー・クーポンなどに加え、期間手限定でAR機能を提供したり、店頭でのチェックインによりクーポンを提供する機能「I’m@ケンタッキー」などが提供されているようです。

また、スマートフォンアプリ上では殆どが会員登録なしで利用できるコンテンツが大半である点は、マクドナルドやモスバーガーのアプリにはない特長と言えます。

アプリは全体的にHTMLベースで構成されたいわゆる「ウェブアプリ」で、各ボタンをタップするごとに通信が発生し、画面を読み込んでいることがわかります。

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内容についても、第二階層以下では全体的に、フィーチャーフォン向けサイトをスマホ最適化させた、スマートフォンサイトのコンテンツを流用したものが中心となっており、アプリ独自のコンテンツ提供は一部に限られるようです。

それぞれの機能について、目的や背景を含めてチェックしてみましょう。

初回起動、ホーム画面:初回起動の直後からフルな機能を利用可能

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ダウンロードしてアプリを起動すると、「ホーム画面」が表示されます。上記で触れた通り会員登録を促す画面などは表示されないうえ、チュートリアルの表示などもなく、初回起動時のみの特別な動作なしで、ダウンロード直後から全機能を使うことができるようです。

ホーム画面のトップにはキャンペーン実施中の商品バナーが大きく取り上げられており、スマートフォン向けサイトでは動画や商品紹介など豊富なコンテンツが提供されています。

他に「I‘m@ケンタッキー」や、Ponta会員向けウェブサイト「カーネルPontaクラブ」のリンク(それぞれ後述)に加えて、以下などが提供されています。

KFC最新情報:新商品を紹介するスマホ用サイトにリンク

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新商品などの紹介コーナーです。

スマートフォン向けサイトへのリンクバナーが一覧で並ぶだけの構成となっており、デザインはフィーチャーフォン向けモバイルサイトをスマホ用に転用しただけの、情報量の少ないページになっているように感じます。

お問合せ窓口:フリーダイヤルを明記しユーザーからの問合せに積極的に対応

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「お問合せ窓口」には、ケンタッキーフライドチキンの「お客様窓口」のフリーダイヤルが掲載されており、電話番号をタップすることで問合せが出来るようになっています。

企業アプリにおいて、トップ画面直下に問合せ番号を載せるケースは珍しいと言えるでしょう。アプリの問合せは操作方法など比較的手間のかかるものも含まれるうえ、お客様窓口の担当者にトレーニングを行う必要性などから、メールアドレスや問合せフォームの掲載に留まる場合が多いようです。

しかしながらアプリの場合、疑問が解決しないユーザーが「アプリストアのレビュー欄」にクレームを書きこんでしまうケースもあり、新規のダウンロード数に少なからず影響を与えてしまうリスクもあると言えます。

対応の工数を考えると簡単に真似をする事は難しいものの、ケンタッキーのように問合せ先を明示する事によって、レビュー欄に向かうユーザーのストレスを一部吸収し風評リスクを抑える効果も、少なからず期待できるのではないでしょうか。

Facebook:ケンタッキー公式アカウントを表示

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ケンタッキーの公式Facebookアカウントが確認できます。ケンタッキーのアカウントは現在25万件のユーザーを抱えており、新商品やイベント情報などが活発に発信されています。

Facebookアカウントを持っていながら、公式アプリ上にリンクを掲載していないケースは多いようですが、ケンタッキーのようにリンクを設置することで、単に最新情報に触れてもらうだけでなく、「いいね!」をさせることで自社のアプリを離れた場所(=facebookタイムライン)でも情報に触れさせることが可能になることから、必要な策と言えるのではないでしょうか。

クーポン:会員登録なし 店頭提示で利用できるクーポンを豊富に用意

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ケンタッキーのアプリでは、店頭で提示する事で利用できるアプリ向けのクーポンが常時15種ほど提供されています。セットメニューを2割程度値引く内容が中心で、内容は1カ月程度で更新されているようです。

これらのクーポンはアプリのダウンロード直後から誰もが利用できるようになっており、会員登録・ログイン操作が必要なマクドナルド・モスの公式アプリと一線を画しています。

モバイルサイトが主流の時代には、サイトをブックマークさせることが難しく、囲い込みや情報伝達の必要性から「モバイルサイト+会員登録」の仕組みが取られてきました。

しかしながらスマートフォンアプリの提供により、「画面上に自社アプリのアイコンを固定できる」「プッシュ通知機能を使いメールアドレスなしで情報提供が可能」などのメリットが生まれたうえ、LINEやFacebookなどの台頭により「メール」自体の地位低下が指摘されています。

このような状況下においては、クーポンの提供先を「会員限定」から「アプリユーザー限定」に緩和し、少しでもユーザーの負担を減らし利用頻度の向上を優先する形も、選択肢の一つと言えるでしょう。

メニュー:スマートフォン向けサイトと同一のコンテンツ

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メニュー機能では、ケンタッキーが提供するフード・ドリンクメニューの価格などが確認できるようになっています。スマートフォン用サイトのメニューページにリンクしているのみで、アプリ上の特別な機能などは提供されていないようです。

マップ:ウェブベースの店舗検索機能 操作性には課題

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「マップ」では、近隣や指定エリアのケンタッキーの店舗を地図上から検索することができます。

画面はスマートフォン向けサイトの店舗検索機能と同様のウェブページ形式で、操作性はフィーチャーフォン用の地図検索機能とあまり変わらないように感じます。GoogleやAppleのネイティブ地図データを利用する一般のアプリに比べると、操作性が大きく劣る点は否めないと言えるでしょう。

アプリの最大の目的が店舗集客である事を考えると、その基本を担う店舗検索機能の使い勝手が低い点は、非常に大きな課題に感じられます。

「おいしさ」:こだわりの調理法やスペシャル動画を提供 AR機能の動作に課題

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「おいしさ」からは、「カーネルおじさん」でおなじみの創業者「カーネル・サンダース」の調理法に関するコンテンツへのリンクや、AR機能により、特設サイトや店頭の画像を読み込むことでスペシャル動画が見られる機能が提供されています。

ARコンテンツは、カメラボタンを押す事で「AURASMA」のプログラムが起動され利用できるようになっています。

調理方法などをフィーチャーした同社のプロモーションは以前より見られましたが、異業種参入が相次ぐフライドチキンの業界において近年特に注力されている内容でもあり、日経デジタルマーケティングの記事にも『「本家のこだわり」を訴求し他社と差別化を図る意図』で、同社社長の渡辺氏がAR機能の実装を発案したとの表記があります。

差別化を図る方針自体は、同社のブランドイメージに合った効果的なプロモーションと言えそうですが、AR機能の操作性には課題が感じられます。画像のを読み取るカメラの画面上で「×」を押すとアプリが終了したり、改めてページを見るとエラー表示が出るなど、操作性が不安定な部分も見られました。

コンテンツも良く、ブランドイメージを訴求するコーナーであるからこそ特に、動作の不安定さで印象を下げてしまう事は残念に感じられ、改善が求められる部分と言えるでしょう。