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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

GEO(ゲオ)アプリ(後編):低価格・リユース・PontaでTSUTAYAに対抗 堅調な業績を支える高機能アプリ

 Post by MML編集部

レンタルチェーン大手「ゲオ」の公式アプリについて分析する今回のコラム。前編では、ゲオの概要やレンタル市場の状況、最大手TSUTAYAとの経営戦略の違い、公式アプリの概要や主な機能について触れました。

縮小を続けるレンタル市場においては、TSUTAYAとゲオの2強による寡占化が進みつつあり、両社の競争も激しさを増しています。ゲオは低価格路線・中古品売買・Ponta陣営のネットワークなどの強みを活かし最大手のTSUTAYAに対抗しており、それらを支えるO2O施策として、公式スマートフォンアプリが重要な役割を果たしている様子が見受けられました。

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後編では、引き続きゲオの公式アプリの主要な機能について触れながら、同社のアプリ・O2O戦略の全容に迫りたいと思います。

コレクションボード:お気に入り/レンタル済み作品を一覧化 CGM化の布石としての意義も

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コレクションボードは、過去にレンタルしたDVD作品やお気に入りの作品を、アプリ上に設けられたボードにコレクションできる機能です。

気になる作品を登録しておくことで、次回来店時のレンタル機会を逃さないようにしているだけでなく、作品に対する評価や感想も残せることから、「以前借りたあの作品をもう一度見たい」といったリピートの購買機会を創りだすのに役立っているものと推測されます。

現在、入力した感想は本人のみが確認できる状態となっていますが、入力覧には「※感想は今後公開される予定となっております」との記載があり、「食べログ」のような一種のCGM(※)として活用しようとする意図が感じられます。

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※CGM:コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア。消費者が口コミなどを投稿する事で生成されていくメディアの事

このことは、アプリの将来展開について触れたIR資料の「ユーザー同士の交流の場として進化予定」とのコメントとも符合しており、他者の感想を元に新たな購買機会を生みだす効果だけでなく、「食べログ」のようなユーザー同士が集まるコミュニティとして盛り上げていくことで、アプリへのロイヤリティを高めることが狙いと言えるでしょう。

アプリ内仮想通貨「ゲオス」:アプリ内での各種アクションを通じ「ゲオス」を獲得 クーポンなどの特典に交換

ゲオアプリには、アプリの各種アクションに応じて、アプリ内で使える仮想通貨「ゲオス」が付与される仕組みが提供されています。

「ゲオス」は、後述する「ログインボーナス」や「来店スタンプ」の利用などを通して獲得できるようになっており、顧客が自社サービスに対してアクションを取る事にインセンティブをあたえることで、アプリの利用頻度や来店頻度を高める効果を狙っているようです。

ログインボーナス:アプリ起動ごとに1日1ポイント(ゲオス)を付与

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アプリの起動時に1日に1ポイントずつ「ゲオス」が貰える仕組みです。アプリの起動回数を上げる効果が期待されます。

ほかにも「おみくじ」や友達へのアプリ紹介などにより、ゲオスの獲得が可能となっているようです。

来店スタンプ:来店頻度を上げるための仕掛け 顧客の行動データを捕捉できるメリットも

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GEO店舗に設置されたQRコードを読み取ることで、上述のアプリ内仮想通貨「ゲオス」を獲得できる機能です。

レンタルショップの来店客の中には「この作品を借りよう」と決めて来店をするケースだけでなく、「何か面白い作品はないかな?」と、目的を定めずに来店するケースが多いのではないでしょうか。

それだけに「ふらりと立ち寄る」機会をいかに作るかが集客のポイントの一つと推測され、「来店ポイント」がその集客の役割を一部担っているものと思われます。

また、来店ポイントは単なる集客の仕掛けとしてだけでなく、顧客の行動を分析する上でも活用度の高いデータと言えるでしょう。

QRコードの読み取りにあたっては、ゲオスの付与を行う必要性から、アプリの利用者データも同時に送信されるはずです。ゲオは商品を購入していないユーザーについても「いつ」「誰が」「どこの店に」来店したかを捕捉する事ができるようになり、POSレジに格納される会員のレンタル・購入データと合わせて、「来店した」「来店し、購買した」という2つのデータを捕捉し、分析に活かす事が可能と言えます。

GEOチャンス:貯めたゲオスを使い、店頭で利用できるクーポンの抽選に応募できる

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貯めた「ゲオス」はアプリ内の「GEOチャンス」コーナーで利用できるようになっています。GEOチャンスは「レンタルDVD半額」などのクーポンが当たる抽選の仕組みであり、応募にあたってはクーポンの内容に応じ50~150G(ゲオス)が必要となっています。

「ゲオス」を貯める・使うの両方で、前回Pontaタイムアプリの記事でも触れた「ゲーミフィケーション」の「課題・報酬」の概念が応用されており、過程を楽しみながらアプリの起動や店舗への誘導を図る効果的な施策に仕上がっているように感じられます。店舗拠点を持つ企業ならではの優れたO2O施策と言えるでしょう。

GEOターミナル:複数の情報をまとめたコーナー 他サービスの案内なども

「GEOターミナル」は、以下などの情報がまとめて掲載されたコーナーです。

1. ゲオチャンス紹介

上述した「ゲオチャンス」についての紹介コーナーです。

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2. おみくじ

1日に1回ひく事ができるおみくじです。日によって「クーポン」や「ゲオス」が獲得できるようになっており、起動回数アップを目的にしていると推測されます。

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3. GEOムービー

新作の予告編動画や、海外ドラマ作品の1話目などを無料で視聴できる機能です。「続きを見たい」というユーザー心理を喚起するものと言えるでしょう。

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4. キャンペーン情報

店頭で実施中の各種キャンペーンが確認できます。

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5. サービス一覧

GEOオンラインやリユース事業の「ジャンブルストア」等についての紹介コーナーです。

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フリーマガジン:店頭で配布されている情報誌「G/get press」をアプリ上でもチェック

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ゲオでは店頭で配布するフリーマガジンとして「G/get press」を提供しており、DVD/CD新作の宣伝を兼ねた俳優・アーティストへのインタビュー記事や、新作映画・新作ゲームソフト情報などが豊富に掲載されています。入荷日・レンタル開始日などの情報も記載されており、レンタル購買の機会をのばす目的があることが伺えます。

アプリ上ではその「G/get press」の電子版が閲覧できるようになっており、既存のコンテンツを効果的に活用しているようです。

現状は紙媒体をそのまま電子化した状態で提供されているようですが、記事と予告編動画や作品情報などとをリンクさせたり、スマートフォンのサイズに最適化した構成にする事によって、より効果を高めることが出来るのではないでしょうか。

まとめ:機能性と使いやすさを両立させた完成度の高いアプリ 他業態との連携やコミュニティ化に期待

機能性と使いやすさの両立

ゲオアプリは、PontaIDを活用したスムーズな会員登録や、カードの持ち歩きを不要にしたQR会員証、最寄り店舗の在庫状況が分かる在庫検索機能、「ログインボーナス」や「来店スタンプ」などを通した仮想通貨「ゲオス」による利用促進など、高度な機能が多数含まれたアプリです。

これらの機能は単にアプリ側の開発だけに留まらず、Ponta会員DBやPOSシステムとの連携、自社会員DBでのポイント管理などバックエンドのシステム改修を伴うものであり、かなりのシステム投資が必要であったと推測されます。

IR資料リリース資料の内容だけでなくアプリ自体からも、同社がスマートフォンアプリを通しO2O・オウンドメディア運営にかける本気度が伝わってくるように感じます。

一方、サイズが限られたスマートフォンに多機能・高機能を詰め込もうとすると、操作性が犠牲になるケースも多いと言えます。以前触れさせて頂いたヤマダ電機さんのアプリなどにも、その傾向が見られました。

ゲオアプリは、各機能の利用のたびに表示される丁寧なチュートリアルや、全体を通して反応速度の高いネイティブ実装が主体となっている事などから、多機能ながらもストレスの少ない、分かりやすく操作性の高いアプリに仕上がっています。

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機能性と使いやすさを両立する事により、ユーザーの利用頻度を高め、より高い効果を発揮している点は、大いに学ぶべきポイントと言えるでしょう。

改善点と今後の展開

1点改善点を上げるとするならば、ゲオショップでのレンタル・販売のみがアプリの対象となっており、リユース・中古品売買・ネット動画サービスなど他サービスとの連携が不足している点ではないでしょうか。 最大手であるTSUTAYAでは、記事でも取り上げた通り、「TSUTAYADISCAS」「TSUTAYATV」などのウェブ系サービスでも専用アプリを提供し、各アプリ間の連携を図るなど、レンタル事業に留まらないアプリ展開を行っています。

対してゲオアプリにおいては、「ゲオターミナル」に他サービスのロゴが掲載されているものの、タップしても紹介文が立ちあがるだけでなぜか「リンク」が貼られていないという、少々不可解な点も見られました。

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ゲオの1,600万もの会員資産と、うち300万を目指すとされるゲオアプリのユーザー資産を活かし、「ジャンブルストア」「セカンドストリート」「ぽすれん」などの関連サービスにも送客を行う仕組みを実装できれば、グループ全体の売上に与える影響はより大きなものになるのではないでしょうか。

改めて同社のIR資料におけるアプリの紹介文を見ると、「娯楽コンテンツ(映像・音楽など)や生活スタイル(服飾・家電等)にかかわる情報資産を活用して(中略)進化予定」との記載があり、それらの課題を解決する準備が今まさに進められている可能性も高いのかもしれません。

機能性と操作性を両立した同社のアプリが以後どのような発展を見せるのかは、非常に興味深い点と言えます。今後も引き続き動向を注視し、お届けして参りたいと存じます。