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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

GEO(ゲオ)アプリ(前編):低価格・リユース・PontaでTSUTAYAに対抗 堅調な業績を支える高機能アプリ

 Post by MML編集部

今回は、DVD・CDレンタルショップ大手「GEO」を運営する「株式会社ゲオホールディングス(以下ゲオ)」について、同社の経営戦略やO2O(オムニチャネル)戦略、公式スマートフォンアプリに課せられたミッションや機能等を中心に、前後編の2回で分析いたします。ぜひご覧ください。

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ゲオ概要:低価格路線を徹底する業界2位企業 中古品売買に強み

ゲオはDVD・CDレンタル業界で首位TSUTAYA(紹介記事)に次ぐ規模を誇る、業界第2位の企業です。2013年3月期の売上高は2,592億円で、ここ数年横ばいの傾向ながら、手堅く利益を確保しています。

ゲオの事業構造の特長として、利益率が比較的低いビデオ販売・レンタル事業(売上構成比51.2%)だけでなく、ゲームなどの中古買取・販売や古着等のリユース事業など、利益率の高い中古品売買事業に力を入れている点があげられます。特に最近では「ジャンブルストア」「セカンドストリート」ブランドでリユース業態の出店を強化しており、2012年の決算資料では「グループの成長の柱」と位置付けられており、高い期待が見受けられます。

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ここ数年は「50円レンタル」など徹底した低価格路線で知られており、市場が縮小しつつあるレンタル業界の中でも成長を続けています。

これは、ゲオが抱える1200店舗のうち直営店が8割を占めていることから、客単価が減少する低価格路線を追求しても、店舗からの反発が起きないという事情があるでしょう。フランチャイズ店が9割を占めるTSUTAYAと対照的な点と言え、同社の決算資料でも「在庫・価格管理の本部コントロール」や「不採算店舗のスクラップ&ビルド」などの面で直営組織のメリットを活かしている事が強調されています。

■業界概況:レンタル市場は縮小傾向 1位TSUTAYAとの寡占化が進む

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レンタル業界の市場規模はここのところ減少を続けており、一般社団法人日本映像ソフト協会(JVA)の調査によると2012年の市場規模は2,389億円と、2005年と比較し3割の減少となっています。理由として、競争激化に伴うレンタル単価の減少や動画配信サービス市場の成長などが指摘されており、中小レンタルチェーンの店舗数はピーク時の1/3となるなど、店舗数も減少が続いています。

その中においてもゲオはM&Aや積極的な新規出店を続けており、レンタル業態「ゲオショップ」の店舗数は2013年11月で1,272店舗と、TSUTAYAの1,400店舗(※2011年3月発表、直近非公開)と合わせ業界の6割程度を両社が占めているものと推測されます。?

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市場が縮小する中、TSUTAYAとゲオの2社の寡占化が進む構図となっており、両社の競争もより激しさを増している状況にあります。

公式アプリ「ゲオ」:Pontaとの連携で会員獲得を強化 IR資料にも登場

積極的な新規出店と低価格戦略で堅調な業績を維持する同社ですが、その業績を支えるマーケティング戦略の中でも、スマートフォンアプリの存在感が高まってきています。

同社は2012年12月に「ゲオ公式アプリ」をリリースし、2013年11月に大幅なリニューアルを行い、現在のデザインとなりました。

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2013年11月のIR資料に書かれたスマートフォンアプリリニューアルの紹介には「会員数1600万人に向けた新たなネットワーク戦略」「ユーザ当初300万人を目指す」と明記され、その本気度をうかがうことができます。

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また、「娯楽コンテンツ(映像・音楽など)や生活スタイル(服飾・家電等)にかかわる情報資産を活用して、ユーザとともに、アプリ自身を特徴のある固有メディアとして、またユーザ同士の交流の場として進化予定」とあり、アプリをオウンドメディアの中心と位置付け、レンタル事業に留まらず活用しようとしている事が読み取れます。

加えて、ゲオは2010年3月に共通ポイントサービス「Ponta」のスタートと同時に陣営に参加した、Pontaの“ローンチカスタマー”です。

レンタル事業の会員をベースに独自の共通ポイントサービス「Tポイント」を発達させ新たな収益源を模索するライバルTSUTAYA(カルチュアコンビニエンスクラブ)に対抗するため、2010年まで独自に構築していた1000万にも及ぶ登録会員をPonta陣営に統合させる事により、Pontaの巨大な会員資産とネットワークをベースに囲い込みを強化している事が読み取れます。

現状のゲオスマートフォンアプリの機能を細かくみていきましょう。

会員登録:PontaIDと電話番号認証を併用 離脱率低下と本人確認の両立を狙う

初回起動直後には、PontaIDを使ったログイン画面が表示されます。

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Ponta会員はPontaのID・パスワードを使う事により、少ない入力項目で手軽に会員登録ができるようになっています。近年「Facebook」等のSNSアカウントを使った会員登録が普及していますが、PontaIDを使ったログインはそれらと同様、ゼロから入力を行う場合に比べ、離脱率を下げる効果を発揮しているものと思われます。

また、DVD/CDレンタルや中古品売買などにあたっては、物品管理や犯罪防止などの面で、本人確認が重要視されます。Ponta会員の場合はもともと店頭での登録手続きを経てカードを入手したユーザーであり、本人確認の面でも信頼性の担保されたデータと言えるでしょう。

ゲオアプリではPontaカード情報に加え、SMSでの電話番号認証が必要になっており、店頭での本人確認書類チェックも併用することによって、ユーザーの手間をなるべく減らしながら、個人情報の確認を両立できるよう意識されているようです。

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丁寧なチュートリアル:豊富な機能を利用させる為の工夫

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Pontaアプリの記事前回で取り上げたのと同様、ゲオアプリにも、初回起動時に丁寧なチュートリアル(操作説明)が表示されます。

ヤマダ電機の記事でも触れましたが、機能の多いアプリは一見内容が分かりにくく利用頻度が下がる恐れがありますが、ゲオアプリのようなチュートリアルを設ける事によりユーザーの理解を助け、利用頻度を上げる効果が期待できるでしょう。

会員証:アプリ上のQRコードを会員証として利用可

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会員カードの持ち歩きが不要に PontaIDでログインをする事により、レンタル会員カード代わりに使えるQRコードの「会員証」を表示することができます。

アプリ会員証として、カードを持ち歩くことなくDVD/CDのレンタルが可能となるだけでなく、レンタルの度にアプリの起動を行う=アプリの利用頻度を上げる効果も期待できると言えるでしょう。

同様のアプリ会員証の仕組みは、TSUTAYAなどではまだ導入されておらず、レンタル業においては先進的な取り組みと言えるでしょう。

マイショップ登録:アプリ全体の利便性を上げる仕掛け

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自分のよく利用する最寄り店舗を登録しておくことができる機能です。登録した店舗は後述する「チラシ」「在庫検索」「クーポン」等の機能とも連動しており、便利に使う事が出来るようになっています。

お得クーポン:アプリ限定のクーポンを複数提供

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「お得クーポン」では、店頭で使えるアプリ限定のクーポンを表示できます。マイショップ登録後には初回限定の「全品半額」クーポンが表示され、その他のクーポン含め10日ほどでクーポン内容が切り替わるようになっています。

最新のチラシ:折込チラシではリーチできない若年層などへの訴求効果も

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「マイショップ」で登録した店舗の折込チラシを確認できる機能です。チラシにはゲームソフトなどの販売価格に加え中古買取価格なども記載されており、購買機会の拡大を図っています。

近年新聞購読世帯数の減少から、GUなどのように、新聞折り込みチラシを廃止しアプリ上での提供に絞るケースも出てきています。特にゲオはゲームソフト等を購買する若年層・若いファミリー層がメインターゲットとなる事から、折込チラシの効果減少の影響を受けやすいと想定され、ターゲットに合わせた情報提供手段として、アプリでの情報提供に力を入れているものと推測されます。

また、中古ソフトの売買に関心の低いレンタル利用者層に対してもチラシを訴求する事により、「中古品売買事業における新規顧客」を開拓する効果も期待できるでしょう。

在庫検索:マイショップ/最寄り店の作品在庫をワンタッチで検索 売上機会ロスを防ぐ

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レンタル作品の作品名・出演者/アーティスト名などから、レンタル作品および在庫を検索できる機能です。「マイショップ」または「現在地付近の店舗」から在庫が検索できるようになっており、検索結果画面上に作品と共に在庫状況を示すマークが表示されます。機能としてはTSUTAYAアプリの回で取り上げた在庫検索機能に近いものと言えるでしょう。

レンタルショップはレンタル回数(=回転数)をいかに上げるかが収益に直結する業態であり、物理的にスペースや在庫が限られる中、在庫切れによる売上機会ロスを減らす事は非常に重要なテーマです。

ゲオでは在庫検索機能により、「よく行くマイショップA店で在庫検索>A店に在庫が無ければ最寄りの複数店で検索>在庫のあるB店でレンタル」といった行動を生みだし、エリアの店舗全体の売上の総和を上げ、売上機会ロスを下げる事を意図していると推測されます。