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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

人気の企業ほど狙われやすい。偽アプリ騒動から探る背景と対策とは?

 Post by MML編集部

今回は、先日ピザーラ公式アプリの紹介にあたり触れた「偽アプリ」の騒動に関して、その背景や影響について触れるとともに、偽アプリ開発の対象にされやすい企業の傾向と取るべき対策等について解説をしたいと思います。

偽アプリ騒動とは?

今年1月に発生した「偽アプリ」騒動は、悪意の第三者がピザーラのロゴ等を無断使用し開発したアプリ「pizza-la for iPhone(※現在は公開停止)」等が、App Storeに公開されてしまったものです。

ピザーラ 偽アプリ トップ画面

?pizza-la for iphone(現在は公開停止)

App StoreはGoogle Playなどに比べ審査基準が厳しい事で知られていますが、その審査をくぐりぬけて公開されてしまった事、アプリの名称やロゴに加えてアプリの画面もピザーラの公式サイトを表示するものであった事から、ピザーラの公式アプリであると誤解したまま入手したユーザーも多かったようです。

同種の「偽アプリ」は「マツモトキヨシ」や「ツルハドラッグ」など他チェーン名義でも同時期に公開されました。各社がサイト上で注意を呼び掛ける騒ぎとなり、各種ニュースサイト等でも話題となりました。

「ピザーラ公式ではないiPhoneアプリにご注意下さい!」

当社の社名を騙るアプリに関するご注意 | 新着情報 | ドラッグストア マツモトキヨシ

お客様への重要なお知らせ|お知らせ|ツルハ

偽アプリ開発者の意図とは?

これらの偽アプリはなぜ開発されたのでしょうか?開発者の意図は分かっていませんが、一般的な偽アプリの理由として想定されるのは、「偽アプリ内で表示する広告を通じた収益の獲得」や「個人情報の収集」などと想定されます。

前者は一般ウェブサイトのバナー広告と同様、アプリ内の任意の場所にバナー状の広告を表示し、表示回数やタップされた数に応じ収益を得るものです。ユーザーの操作は任意であり、直接的な実害があるわけではありません。

但し後者の「個人情報の収集」についてはユーザーにとっても大きなリスクと言えます。今回のピザーラの偽アプリについても、アプリ上に表示されたピザーラの公式サイトで注文操作などを行う際、情報を第三者に窃取される可能性が指摘されており、ピザーラ社のサイトにも「注文や会員登録はお控えください」との注意喚起がされているようです。

偽アプリの影響

では、偽アプリが公開されてしまった場合の企業側の影響としては、どのようなものが考えられるでしょうか。

1.ブランドイメージの低下

偽アプリの影響として最も大きいものは、様々な要因を通じたブランドイメージの低下です。

偽アプリは上述の通り、海外の個人などが広告目的などで開発・公開するケースが多く、その内容は低品質なブラウザアプリである場合が多いようです。

現在は当該アプリはストア上から消去されていますが、ユーザーが偽アプリを公式なアプリと誤解したまま操作性などに不満を書きこんでいるケースも見られ、企業のブランドイメージに与える影響は非常に大きいと言えます。

また、App Store側に偽アプリの事実を伝え掲載の中止を求めた場合も、もともとメールでのサポートしか行っていない中事実確認などにも時間がかかってしまい、実際に掲載中止になるまでには一定の期間を要する場合が多いようです。

実際に今回のアプリも、ピザーラ社のお知らせには1/14時点でApp Storeに異議申し立てをしたとの記録が残っていますが、以下のデータからは少なくとも1/25までの約10日間、ストア上にアプリが残っていた事が分かります。ストアでの順位などから見て、数万人単位のダウンロードは発生したものと推測されます。

pizza-la for iphone(ピザーラ 偽アプリ) AppAnnie ランキングデータ

pizza-la for iphone ランキング推移(AppAnnieより)

掲載中止までの間は新たなダウンロードの発生を止められないうえ、一度ダウンロードをしてしまったこれらのユーザーのアプリはストア上で掲載を止めても各自の端末に残り続けてしまう事から、公式なアプリと誤解をしたまま使い続けられてしまう可能性もあります。

また、そもそもこのような騒動がニュースになってしまう事自体、ブランドに対するネガティブなイメージに繋がってしまいます。今回は確認できていませんが、もしもこれらのユーザーが個人情報窃取等の被害にあってしまった場合、ブランドイメージへの影響はより深刻なものになっていた可能性があると言えるでしょう。

2.プロモーションへの悪影響

またピザーラのケースでは、一度偽アプリがニュースサイト等で話題になってしまった事により、Google等の検索サイトで「ピザーラ アプリ iPhone」などで検索すると大半を騒動のニュースが占めてしまい、App Storeのリンクが1ページ目に表示されない(※)状態になってしまっているようです。

 

検索結果(ピザーラ アプリ iphone)

?検索結果(ピザーラ アプリ iphone)

※アプリ名称が英字表記の「PIZZA-LA」である事も一因と推測される。

後述しますが、検索サイトを通じアプリを探す層は一定のボリュームがあります。今回のケースでは、それらのユーザーはダウンロードすべきアプリがどこにあるのか分からず、通常に比べダウンロード率が大きく落ちる事が予想されます。

正式なアプリの公開後の現在もこれらの状態が残っている点は、隠れた大きな課題と言えるでしょう。

アプリ化が望まれる人気企業ほど「偽アプリ」被害の対象になりやすい

前述の通り、偽アプリはアプリを通じ広告収益や個人情報の獲得を狙っている可能性が高いと言えます。それらを得るためには、より多くのユーザーにアプリをダウンロード・利用してもらう事が望ましいことから、公式アプリの公開をまだ行ってい大手チェーンなどが、特に偽アプリ開発の対象になりやすいようです。

以下は、当社がチェーン展開を行う国内主要約600社を対象にスマートフォンアプリの公開状況などを調査したデータの一部で、「公式アプリを公開していない企業」の「企業名+アプリ」キーワードが、Google上で月間何件程度検索されているかを調べ、上位15社を摘出したものです。

公式アプリ未公開の国内主要チェーン「企業名+アプリ」の月間検索数(上位15社)

No キーワード
(企業名+アプリ)
業態 月間平均検索数
1 ほっともっと アプリ 弁当 480
2 ガスト アプリ ファミレス 390
3 ファミリーマート アプリ コンビニ 390
4 スターバックス アプリ 喫茶店 390
5 ミスタードーナツ アプリ ファーストフード 260
6 吉野家 アプリ 丼物 260
7 ピザーラ アプリ 宅配ピザ 170
8 サブウェイ アプリ ファーストフード 170
9 マツモトキヨシ アプリ ドラッグストア 170
10 NOVA アプリ スクール、塾 110
11 カラオケ館 アプリ カラオケ 110
12 ケーズデンキ アプリ 家電量販店 90
13 ミニストップ アプリ コンビニ 90
14 NAS アプリ フィットネス 70
15 ライトオン アプリ カジュアル 70

?※2014年6月 モバイルマーケティング研究所調べ
※月間平均検索件数はGoogleキーワードプランナーより取得

 

No1~15の各社は、まだ公式アプリを提供していないにも関わらず、大変多くのユーザーから「公式アプリ出ていないかな?」と検索サイト上で検索されている、つまりそれだけ「一般消費者からアプリの公開を特に強く要望されている企業」である事を表していると言えます。またその事は、実際にアプリを公開したとき、「一般消費者にダウンロードされやすい人気アプリ候補企業」とも言いかえる事が出来るでしょう。

この事はマーケティング上非常に喜ばしい事である反面、それだけ「偽アプリ」開発の対象に挙げられやすい事も同時に意味しています。実際に、今回騒動に巻き込まれた「ピザーラ」と「マツモトキヨシ」が7位と9位にランクインしている事からもこの事は明白であり、該当の企業様では早めに対策を取る事が望ましいと言えるでしょう。

偽アプリ騒動に巻き込まれない為の有効な対策とは?

では、「偽アプリ」騒動に巻き込まれない為にはどうするべきでしょうか?一番有効な対策は、「ターゲットにされてしまう前に、公式アプリを公開する」事です。理由は3つあります。

1.先にアプリを公開する事が、偽アプリ発生の大きな抑止力になる

先に公式アプリを公開した場合、検索サイトやアプリストアでブランド名検索を行った際、検索結果のトップに公式アプリが表示される事が一般的です。そのような中偽アプリを開発しても、ダウンロードを見込む事は困難となり、手間をかけて開発する事の合理性が成り立たなくなる事から、そもそも偽アプリを開発するターゲットに入りにくくなります。

先にアプリを公開してしまう事が、偽アプリ発生の大きな抑止力になると言えるのです。

2.仮に偽アプリが公開された場合にも、影響を最小限に留める事が出来る

仮にそれでも偽アプリがリリースされてしまった場合も、既に公式アプリが存在しているのとしていないのとでは、事情が大きく変わります。

A社が公式アプリを持たない状態で「Bは非公式なアプリです」発信したところで、既にあるアプリBの存在を打ち消す事は容易ではありません。App Storeにとっても取引のない第三者から届いた問合せメールに対してできる事は限られてくるでしょう。

対して、A社が公式アプリAを公開した状態で「Aは公式アプリで、Bは非公式アプリです」と訴える事ができれば、ユーザーに対する説得力も大きく変わってくると言えます。App Storeに掲載中止を申し出る際にも、デベロッパー登録をしているA社として問合せをすれば、そうでない場合に比べ、当然ながら対応のスピードも早いものになるものと推測されるでしょう。

3.コントロールできないリスクが多い

また2.の背景として、今回の騒動と同様の事象が起きた場合などに「ネット上の風評」や「(App Storeという)第三者のプラットフォーム上で起きたトラブル」などは、自社がコントロールすることは非常に難しいという特性が挙げられるでしょう。

その事から、準備がない状態で突然事象が発生してもできる事は少なく、「アプリ公開という準備をしておく」事以外に有効な策が見当たりにくいとも言えます。

 

今回のピザーラやマツモトキヨシなどの「偽アプリ」騒動において、無断でブランドを使用した開発者に法的・道義的責任がある事は言うまでもない事です。しかしながら、仮に両社がユーザーのニーズに合わせもっと早く公式アプリを公開していれば、標的にされる事自体を回避できた可能性が高いと思われます。該当の企業様に於いてはリスク回避の観点からも、早めの検討が望ましいと言えるでしょう。

偽アプリ騒動は、ユーザーの期待の裏返し

上記でも触れた通り、偽アプリ開発の対象になる事は「一般消費者から特にアプリ公開を望まれている」事とことと同義であり、ユーザーの期待の裏返しとも言えます。

まだリリースをしていない状態からアプリ公開を待っている消費者が多くいるという事は、それだけアプリ公開時の効果が大きいであろう事を意味しており、該当の企業にとっては喜ばしい・誇るべき事実と言えるでしょう。

今回の出来事を新たな販促手段獲得の好機ととらえ、各社が公式アプリの検討・開発を加速していただく事を願いたいと思います。