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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

ビックカメラ公式アプリ(後編):大幅アップデートの前後比較から分かる同社の狙いとアップデートのポイントとは?

 Post by MML編集部

ビックカメラアプリ分析記事の後編をお届けいたします。

前編では、アップデート前後の同社アプリを比較しながら、新たに追加/修正された機能が課題をクリアできているか・その狙いは何かを分析しました。

今回の記事では、ビックカメラアプリの残りの機能の分析を行ったうえ、今回のアップデートで解決できた課題・残った課題などについて整理したいと思います。

また、昨今増えつつある企業のO2Oアプリのアップデートにあたり考慮すべきポイントなどについても、今回の事例を元に触れてみたいと思います。是非ご覧ください。

機能の確認

ビックカメラアプリの主な機能について、改めて整理してみましょう。

前編では以下の機能(画面)につてい取り上げました。

  • トップ画面
  • ネットショップ
  • ポイントカード
  • チラシ

後編では残りの以下機能について触れたいと思います。

  • プッシュ通知
  • クーポン
  • 店舗検索
  • ニュース

早速個々の機能について見てみましょう。

プッシュ通知:

ビックカメラ19

今回のアップデートでは、前バージョンに非搭載となっていた「プッシュ通知」機能が新たに搭載されており、クーポンの配信やチラシの更新などを知らせる目的で活用されているようです。これまでのアプリが利用者の自発的なアプリ起動に留まっていた事と比較し、起動回数・アクティブ率を大きく改善する事に繋がるでしょう。

筆者が確認した限り、配信内容は上記のような全ユーザー共通のものになっているようですが、前編のチラシ機能説明で触れた通り、My店舗登録時に入力した属性情報などを元に、ユーザー別にプッシュ通知内容を変更する事なども検討されているのかもしれません。

クーポン

写真 2014-04-03 16 57 16

クーポン機能は、今回のアップデートで新たに追加された機能です。

いわゆるバラマキ型のいつでも/誰でも使えるクーポンとは違い、ユーザーがチラシ機能で登録した「My店舗」ごとに配信特典内容をカスタマイズしたクーポンが1週間単位で計画的に配信されており、店頭集客を目的にしっかりと運営されている様子が伝わってきます。実際の画面を見てみましょう。

写真 2014-04-03 16 56 03

前述のプッシュ通知などから「クーポン」機能を起動すると、最寄りの店舗で使えるクーポンが表示されます。1週間単位で新しい内容が配信されています。

写真 2014-04-03 16 56 07

クーポンの対象店舗から300m以上離れているとスクラッチを削ることができず、この時点ではまだクーポンの内容は分かりません。

写真 2014-04-03 16 57 06

300m以内に入りスクラッチを削ると、

写真 2014-04-03 16 57 13

当たりの画面が出て、クーポンの内容を確認する事が出来ます。

写真 2014-04-03 16 57 16

今回は、「コンタクトレンズ15%OFF」のクーポンでした。店頭で「もぎり」の操作を行うことによって、再利用を防ぐための「クーポンの消し込み」と、実際の来客がどの程度あったのかを把握する「効果測定」を可能にしているようです。

スクラッチ型クーポンの機能はマクドナルドの「スクラッチdeクーポン」やGUアプリの定期的なキャンペーンなどで導入されていますが、ビックカメラのように「カードを削れる場所」を限定しているケースは珍しいように感じます。

各店の300m圏内を毎日のように通るユーザーは一部に限られるため、「クーポンが当たったからお店に行く」という来店のきっかけになるケースは少なく、逆に「お店の近くへ行ってクーポンを削ってみたけど、期待外れのクーポン内容だった」という感想を与えてしまうリスクもあるのではないかと、使ってみて感じました。

ただ、「アプリの使い方」に掲載されている内容によると、スクラッチできるエリアを限定しないタイプのクーポンも配信される場合はあるようです。My店舗登録時の属性情報に応じた配信内容の調整も、プッシュ通知と同じく、検討されている可能性があるでしょう。

今回のクーポンでは「もぎり」操作によるトラッキングが可能となっていますので、クーポンの種類ごとの利用率などを比較検討していく事で、実際の来店に繋がりやすいクーポンの内容や配信方法が明らかになっていくでしょう。

店舗検索

ビックカメラ5

店舗検索機能における検索方法は以前のアプリと同様、現在地から最寄りの店舗を探す機能と、都道府県別の一覧から店舗を探す機能の二つが用意されています。

ビックカメラ6

店舗をタップすると各店の詳細が表示されます。前バージョンの記事で触れていた「フロアガイド」などもリンク追加され、閲覧できる情報量も増えたようです。

写真 2014-04-02 16 55 33

但し、「近くの店舗を現在地から探す」で表示される地図の縮尺が数百キロ単位になっている点は、名称と実態にかい離があるように感じました。名前の通り、現在地周辺の数キロエリアに直接遷移する形にした方が使いやすいのではないでしょうか。

写真 2014-04-02 16 54 08

ニュース

ビックカメラ11

「ニュース」には、お勧めの商品や店舗の情報などが掲載されています。

前編でも触れた通り、以前のアプリの「新着情報」や「モバイルメルマガ」などと比べ、画像が追加されたことで内容が把握しやすくなっているように感じられます。

ビックカメラアプリの主な機能は以上になります。

アップデート(リニューアル)による改善点と残課題

ビックカメラアプリの今回のアップデートでは、以前のバージョンの一部を修正する形ではなく、開発パートナーを変え、アプリ自体をゼロから作り直すリニューアルを行っているようです。

リニューアルにより、単にクーポンやプッシュ通知等の機能追加に留まらず、既存機能も含めたアプリ全体のデザイン・UIや操作性が変更されているようです。

以前の記事で触れていた課題がアップデートによって解決されているかを整理・検証してみたいと思います。

解決・改善された課題

(1)操作性、体感速度の改善

アプリをフラットデザインで全面的にデザインし直した事により、前バージョンの「戻るボタンがない」などの課題が解決されただけでなく、トップ画面を中心とした統一性の高く分かりやすい操作が可能になりました。

また、ウェブサイトの応答速度自体は変わらないものの、サイト読み込み時の表示が変わった事や、アプリ全体に占めるウェブサイト閲覧機能の比率が低くなった事で、アプリ操作の体感速度が改善されたように感じられます。

(2)店頭への集客機能の強化・利便性の向上

今回のアップデートで店頭への集客を担う「クーポン」「プッシュ通知」「チラシ」「フロアガイド」などの機能が追加されたことにより、ショッピング機能が中心となっていた前バージョンと比較し、店舗への来店≒売上拡大を後押しする機能が強化され、情報量・利便性が向上しました。

残った課題

(1)アプリ単体でのポイントカード利用ができない点

ヤマダ電機ヨドバシカメラが対応している「アプリをポイントカード代わりに利用する」事は、最新のバージョンでも対応が出来ていないようです。アプリレビューで要望が最も高い機能であっただけに、将来的な対応が望ましいと言えそうです。

(2)ポイント残高閲覧の為に、ネット会員登録を新規に行う必要がある

既存会員がポイント残高確認を行うだけであっても、ネット会員登録をゼロから行ったうえで共通利用の手続きを行う必要があり、ヤマダ電機など競合他社の登録フローに比べ、手間の大きさが感じられました。

レビュー上でも「登録できない」という声は以前より複数見られており、フローの改善により登録率を上げていく事が、アプリ利用の維持向上の為にも必要と言えるでしょう。

 

上記課題2点は、POSレジ等を含む基幹システムを併せて改修する必要がある部分であり、アプリ単体で簡単に解決できるものではありません。しかしながら、ユーザー目線ではそれらの背景に関係なく他社と比較にさらされてしまうため、長期的な視野で継続した改善を図っていく事が必要と言えるでしょう。

新たな課題

また、手元の端末では再現ができかねたのですが、今回のアップデートにあたり、「ID・パスワードが合っているのにログインできない」「頻繁なアップデートの度にパスワードを要求される」といったレビューが、両OSで増えているようです。(App Store/Google Play)

アプリ自体のバグなどが無くなり安定して動作するようになっただけに、ログイン認証周りの不備によりアプリレビューが低下してしまう事は残念な事象と言えます。

しかしながらユーザーから見ればアプリを通して利用する全て≒アプリ自体の評価となり、その評価がレビュー等に残ってしまうという難しさがあります。開発サイドでのアプリの単体テストだけでなく、企業側サイドでのログイン・Web周りを含めた入念な結合テストの実施が求められる事象でしょう。

また、アップデート直後は今回のようなログイン操作の変更による混乱や、想定以上のダウンロード・アクセスが発生する事にによるサーバーの応答速度の遅延など、想定外の事象が起きやすいタイミングと言え、レビュー等を注視して早めに必要な改善を行っていく事で、影響を最小限に留める体制が求められます。

今回は公開後に頻繁なアップデートが実施されており、対応自体は早かったものの、アップデートのつどログイン操作が必要となった事に対しても、複数のユーザーから指摘が寄せられているようです。事前にアップデート実施時のユーザー側への影響などについても、十分な検証をしておく事が望ましいでしょう。

まとめ:全面リニューアルの好例 その意義と費用対効果についての推察

若干の混乱はあったものの、新しいアプリの使い勝手は実際の感想として以前より大きく改善されており、今回のビックカメラアプリのリニューアルは成功と言えるのではないかと思います。

単なる機能追加に留まらず、アプリ自体をゼロから作り直すリニューアルを行った事でこそ、アプリ全般の使い勝手が上がったと言えるでしょう。

アプリの全面リニューアルの意義と費用対効果について、以下にまとめてみたいと思います。

アプリの効果は「ユーザー数×アクティブ率」 アクティブ率向上が隠れたポイントに

アプリの販促効果の最大化に必要な要素は、つまるところ一般のウェブサービスと同じで、「ユーザー数×アクティブ率」の総和を増やす事にあります。

ダウンロード数を増やす事がまずは大前提であり、分かりやすい指標として企業内においても注目されやすいように思いますが、単にダウンロードしたまま使わないユーザーを抱えていても販促効果は発揮されず、並行してアクティブ率を高める事が非常に重要なポイントとなります。

以前のビックカメラアプリでは、アプリを継続的に利用させるための要素が不足しており、折角獲得したユーザー資産を有効に活用できておらず、十分なアクティブ率が獲得できていなかったものと思われます。

しかしながら、今回のリニューアルでアプリをゼロから開発し、利用率向上に必要な要素を拡充した事によって、アプリの利用率(アクティブ率)の大幅な改善が見込まれるのではないかと感じます。主なポイントは以下の3点です。

1.UI・UXの改善

・デザインやUI・UXが改善された事によって、アプリの利用にストレスを感じるシーンが減り、アンインストール数の減少や利用時間の延長が期待できます。

2.アプリ利用者向け特典の拡充

・ユーザーニーズの高い「クーポン」や「ポイント」等の機能が拡充された事により、実際に店舗へ来店しようとする動機が高まり、アプリを通じた来店経験が繰り返されることによって、店舗やアプリに対するロイヤリティの向上が期待できます。

3.プッシュ通知による定期的な利用機会の創出

・ユーザーの自発的な利用に限られていたアプリの利用機会が、クーポンやチラシの更新時に配信されるプッシュ通知によって定期的かつ一定頻度で発生する事によって、アプリのアクティブ率を向上させる効果が期待できます。

前回記事でも触れた通り、もともとビックカメラには1,800万人を超えるポイントカード会員資産が存在しており、スマホ利用者だけでも800万人~1000万人程度の規模になる事が予想されます。

それらのユーザーに今回のアプリが普及し、アクティブに利用されていく事によって、コストを抑えたオウンドメディア上の告知だけでも、マスメディアと比肩する効果が発揮されていく事でしょう。

企業アプリの全面リニューアル:既存アプリの改修を繰り返すより、費用対効果の面で有効な場合も

ここ数年、企業がO2O販促を目的としたアプリを開発する例が増え、毎週のように複数の企業がアプリを公開しています。

しかしながら、大半の企業にとって初めてのスマートフォンアプリ開発であるがため、まずは体裁を整えアプリを作ってはみたものの、利用率向上に必要な仕掛けが不足しているまま改修やリニューアルを行わず、販促効果も横ばいに落ち着いてしまっているケースもあるように感じます。

また、改修を行うにあたっても、これまで依頼していた開発パートナーに現在のアプリを元にした改修提案などを貰うだけでは大きな変化は見込みにくいうえ、改修規模によってはかえって費用がかさんでしまう場合もあります。

そのような場合には、今回のビックカメラの事例のようにアプリ自体をゼロから開発し直す事も選択肢に入れ、複数のパートナーから提案を募る事により、自社にとってより良いプランが見つかる場合も多いのではないでしょうか。

実際に弊社にもここ半年ほど、「当初の開発パートナーの技術力に不満がある」「全面改修にあたっての費用を見積もってほしい」等の内容で、既にアプリを提供している企業から相談を受けるケースが増えており、全面リニューアルのニーズの高まりが感じられます。

アプリの改修をお考えの方は、長期的な視野で開発コストを抑えながらアプリ利用者のアクティブ率を最大化させ費用対効果を上げる方法の一つとして、全面リニューアルをぜひ検討されてはいかがでしょうか。
ビックカメラアプリ分析記事の後編をお届けいたします。

前編では、アップデート前後の同社アプリを比較しながら、新たに追加/修正された機能が課題をクリアできているか・その狙いは何かを分析しました。

今回の記事では、ビックカメラアプリの残りの機能の分析を行ったうえ、今回のアップデートで解決できた課題・残った課題などについて整理したいと思います。

また、昨今増えつつある企業のO2Oアプリのアップデートにあたり考慮すべきポイントなどについても、今回の事例を元に触れてみたいと思います。是非ご覧ください。

機能の確認

ビックカメラアプリの主な機能について、改めて整理してみましょう。

前編では以下の機能(画面)につてい取り上げました。

  • トップ画面
  • ネットショップ
  • ポイントカード
  • チラシ

後編では残りの以下機能について触れたいと思います。

  • プッシュ通知
  • クーポン
  • 店舗検索
  • ニュース

早速個々の機能について見てみましょう。

プッシュ通知:

ビックカメラ19

今回のアップデートでは、前バージョンに非搭載となっていた「プッシュ通知」機能が新たに搭載されており、クーポンの配信やチラシの更新などを知らせる目的で活用されているようです。これまでのアプリが利用者の自発的なアプリ起動に留まっていた事と比較し、起動回数・アクティブ率を大きく改善する事に繋がるでしょう。

筆者が確認した限り、配信内容は上記のような全ユーザー共通のものになっているようですが、前編のチラシ機能説明で触れた通り、My店舗登録時に入力した属性情報などを元に、ユーザー別にプッシュ通知内容を変更する事なども検討されているのかもしれません。

クーポン

写真 2014-04-03 16 57 16

クーポン機能は、今回のアップデートで新たに追加された機能です。

いわゆるバラマキ型のいつでも/誰でも使えるクーポンとは違い、ユーザーがチラシ機能で登録した「My店舗」ごとに配信特典内容をカスタマイズしたクーポンが1週間単位で計画的に配信されており、店頭集客を目的にしっかりと運営されている様子が伝わってきます。実際の画面を見てみましょう。

写真 2014-04-03 16 56 03

前述のプッシュ通知などから「クーポン」機能を起動すると、最寄りの店舗で使えるクーポンが表示されます。1週間単位で新しい内容が配信されています。

写真 2014-04-03 16 56 07

クーポンの対象店舗から300m以上離れているとスクラッチを削ることができず、この時点ではまだクーポンの内容は分かりません。

写真 2014-04-03 16 57 06

300m以内に入りスクラッチを削ると、

写真 2014-04-03 16 57 13

当たりの画面が出て、クーポンの内容を確認する事が出来ます。

写真 2014-04-03 16 57 16

今回は、「コンタクトレンズ15%OFF」のクーポンでした。店頭で「もぎり」の操作を行うことによって、再利用を防ぐための「クーポンの消し込み」と、実際の来客がどの程度あったのかを把握する「効果測定」を可能にしているようです。

スクラッチ型クーポンの機能はマクドナルドの「スクラッチdeクーポン」やGUアプリの定期的なキャンペーンなどで導入されていますが、ビックカメラのように「カードを削れる場所」を限定しているケースは珍しいように感じます。

各店の300m圏内を毎日のように通るユーザーは一部に限られるため、「クーポンが当たったからお店に行く」という来店のきっかけになるケースは少なく、逆に「お店の近くへ行ってクーポンを削ってみたけど、期待外れのクーポン内容だった」という感想を与えてしまうリスクもあるのではないかと、使ってみて感じました。

ただ、「アプリの使い方」に掲載されている内容によると、スクラッチできるエリアを限定しないタイプのクーポンも配信される場合はあるようです。My店舗登録時の属性情報に応じた配信内容の調整も、プッシュ通知と同じく、検討されている可能性があるでしょう。

今回のクーポンでは「もぎり」操作によるトラッキングが可能となっていますので、クーポンの種類ごとの利用率などを比較検討していく事で、実際の来店に繋がりやすいクーポンの内容や配信方法が明らかになっていくでしょう。

店舗検索

ビックカメラ5

店舗検索機能における検索方法は以前のアプリと同様、現在地から最寄りの店舗を探す機能と、都道府県別の一覧から店舗を探す機能の二つが用意されています。

ビックカメラ6

店舗をタップすると各店の詳細が表示されます。前バージョンの記事で触れていた「フロアガイド」などもリンク追加され、閲覧できる情報量も増えたようです。

写真 2014-04-02 16 55 33

但し、「近くの店舗を現在地から探す」で表示される地図の縮尺が数百キロ単位になっている点は、名称と実態にかい離があるように感じました。名前の通り、現在地周辺の数キロエリアに直接遷移する形にした方が使いやすいのではないでしょうか。

写真 2014-04-02 16 54 08

ニュース

ビックカメラ11

「ニュース」には、お勧めの商品や店舗の情報などが掲載されています。

前編でも触れた通り、以前のアプリの「新着情報」や「モバイルメルマガ」などと比べ、画像が追加されたことで内容が把握しやすくなっているように感じられます。

ビックカメラアプリの主な機能は以上になります。

アップデート(リニューアル)による改善点と残課題

ビックカメラアプリの今回のアップデートでは、以前のバージョンの一部を修正する形ではなく、開発パートナーを変え、アプリ自体をゼロから作り直すリニューアルを行っているようです。

リニューアルにより、単にクーポンやプッシュ通知等の機能追加に留まらず、既存機能も含めたアプリ全体のデザイン・UIや操作性が変更されているようです。

以前の記事で触れていた課題がアップデートによって解決されているかを整理・検証してみたいと思います。

解決・改善された課題

(1)操作性、体感速度の改善

アプリをフラットデザインで全面的にデザインし直した事により、前バージョンの「戻るボタンがない」などの課題が解決されただけでなく、トップ画面を中心とした統一性の高く分かりやすい操作が可能になりました。

また、ウェブサイトの応答速度自体は変わらないものの、サイト読み込み時の表示が変わった事や、アプリ全体に占めるウェブサイト閲覧機能の比率が低くなった事で、アプリ操作の体感速度が改善されたように感じられます。

(2)店頭への集客機能の強化・利便性の向上

今回のアップデートで店頭への集客を担う「クーポン」「プッシュ通知」「チラシ」「フロアガイド」などの機能が追加されたことにより、ショッピング機能が中心となっていた前バージョンと比較し、店舗への来店≒売上拡大を後押しする機能が強化され、情報量・利便性が向上しました。

残った課題

(1)アプリ単体でのポイントカード利用ができない点

ヤマダ電機ヨドバシカメラが対応している「アプリをポイントカード代わりに利用する」事は、最新のバージョンでも対応が出来ていないようです。アプリレビューで要望が最も高い機能であっただけに、将来的な対応が望ましいと言えそうです。

(2)ポイント残高閲覧の為に、ネット会員登録を新規に行う必要がある

既存会員がポイント残高確認を行うだけであっても、ネット会員登録をゼロから行ったうえで共通利用の手続きを行う必要があり、ヤマダ電機など競合他社の登録フローに比べ、手間の大きさが感じられました。

レビュー上でも「登録できない」という声は以前より複数見られており、フローの改善により登録率を上げていく事が、アプリ利用の維持向上の為にも必要と言えるでしょう。

 

上記課題2点は、POSレジ等を含む基幹システムを併せて改修する必要がある部分であり、アプリ単体で簡単に解決できるものではありません。しかしながら、ユーザー目線ではそれらの背景に関係なく他社と比較にさらされてしまうため、長期的な視野で継続した改善を図っていく事が必要と言えるでしょう。

新たな課題

また、手元の端末では再現ができかねたのですが、今回のアップデートにあたり、「ID・パスワードが合っているのにログインできない」「頻繁なアップデートの度にパスワードを要求される」といったレビューが、両OSで増えているようです。(App Store/Google Play)

アプリ自体のバグなどが無くなり安定して動作するようになっただけに、ログイン認証周りの不備によりアプリレビューが低下してしまう事は残念な事象と言えます。

しかしながらユーザーから見ればアプリを通して利用する全て≒アプリ自体の評価となり、その評価がレビュー等に残ってしまうという難しさがあります。開発サイドでのアプリの単体テストだけでなく、企業側サイドでのログイン・Web周りを含めた入念な結合テストの実施が求められる事象でしょう。

また、アップデート直後は今回のようなログイン操作の変更による混乱や、想定以上のダウンロード・アクセスが発生する事にによるサーバーの応答速度の遅延など、想定外の事象が起きやすいタイミングと言え、レビュー等を注視して早めに必要な改善を行っていく事で、影響を最小限に留める体制が求められます。

今回は公開後に頻繁なアップデートが実施されており、対応自体は早かったものの、アップデートのつどログイン操作が必要となった事に対しても、複数のユーザーから指摘が寄せられているようです。事前にアップデート実施時のユーザー側への影響などについても、十分な検証をしておく事が望ましいでしょう。

まとめ:全面リニューアルの好例 その意義と費用対効果についての推察

若干の混乱はあったものの、新しいアプリの使い勝手は実際の感想として以前より大きく改善されており、今回のビックカメラアプリのリニューアルは成功と言えるのではないかと思います。

単なる機能追加に留まらず、アプリ自体をゼロから作り直すリニューアルを行った事でこそ、アプリ全般の使い勝手が上がったと言えるでしょう。

アプリの全面リニューアルの意義と費用対効果について、以下にまとめてみたいと思います。

アプリの効果は「ユーザー数×アクティブ率」 アクティブ率向上が隠れたポイントに

アプリの販促効果の最大化に必要な要素は、つまるところ一般のウェブサービスと同じで、「ユーザー数×アクティブ率」の総和を増やす事にあります。

ダウンロード数を増やす事がまずは大前提であり、分かりやすい指標として企業内においても注目されやすいように思いますが、単にダウンロードしたまま使わないユーザーを抱えていても販促効果は発揮されず、並行してアクティブ率を高める事が非常に重要なポイントとなります。

以前のビックカメラアプリでは、アプリを継続的に利用させるための要素が不足しており、折角獲得したユーザー資産を有効に活用できておらず、十分なアクティブ率が獲得できていなかったものと思われます。

しかしながら、今回のリニューアルでアプリをゼロから開発し、利用率向上に必要な要素を拡充した事によって、アプリの利用率(アクティブ率)の大幅な改善が見込まれるのではないかと感じます。主なポイントは以下の3点です。

1.UI・UXの改善

・デザインやUI・UXが改善された事によって、アプリの利用にストレスを感じるシーンが減り、アンインストール数の減少や利用時間の延長が期待できます。

2.アプリ利用者向け特典の拡充

・ユーザーニーズの高い「クーポン」や「ポイント」等の機能が拡充された事により、実際に店舗へ来店しようとする動機が高まり、アプリを通じた来店経験が繰り返されることによって、店舗やアプリに対するロイヤリティの向上が期待できます。

3.プッシュ通知による定期的な利用機会の創出

・ユーザーの自発的な利用に限られていたアプリの利用機会が、クーポンやチラシの更新時に配信されるプッシュ通知によって定期的かつ一定頻度で発生する事によって、アプリのアクティブ率を向上させる効果が期待できます。

前回記事でも触れた通り、もともとビックカメラには1,800万人を超えるポイントカード会員資産が存在しており、スマホ利用者だけでも800万人~1000万人程度の規模になる事が予想されます。

それらのユーザーに今回のアプリが普及し、アクティブに利用されていく事によって、コストを抑えたオウンドメディア上の告知だけでも、マスメディアと比肩する効果が発揮されていく事でしょう。

企業アプリの全面リニューアル:既存アプリの改修を繰り返すより、費用対効果の面で有効な場合も

ここ数年、企業がO2O販促を目的としたアプリを開発する例が増え、毎週のように複数の企業がアプリを公開しています。

しかしながら、大半の企業にとって初めてのスマートフォンアプリ開発であるがため、まずは体裁を整えアプリを作ってはみたものの、利用率向上に必要な仕掛けが不足しているまま改修やリニューアルを行わず、販促効果も横ばいに落ち着いてしまっているケースもあるように感じます。

また、改修を行うにあたっても、これまで依頼していた開発パートナーに現在のアプリを元にした改修提案などを貰うだけでは大きな変化は見込みにくいうえ、改修規模によってはかえって費用がかさんでしまう場合もあります。

そのような場合には、今回のビックカメラの事例のようにアプリ自体をゼロから開発し直す事も選択肢に入れ、複数のパートナーから提案を募る事により、自社にとってより良いプランが見つかる場合も多いのではないでしょうか。

実際に弊社にもここ半年ほど、「当初の開発パートナーの技術力に不満がある」「全面改修にあたっての費用を見積もってほしい」等の内容で、既にアプリを提供している企業から相談を受けるケースが増えており、全面リニューアルのニーズの高まりが感じられます。

アプリの改修をお考えの方は、長期的な視野で開発コストを抑えながらアプリ利用者のアクティブ率を最大化させ費用対効果を上げる方法の一つとして、全面リニューアルをぜひ検討されてはいかがでしょうか。