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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

ビックカメラ公式アプリ(前編):大幅アップデートの前後比較から分かる同社の狙いとアップデートのポイントとは?

 Post by MML編集部

2014年2月に当ブログで取り上げた(前編後編)家電量販大手ビックカメラの公式アプリが、2014年3月27日に大幅なアップデートを行い、新しいアプリに生まれ変わりました。

ビックカメラ iPhone/Android 無料公式アプリがさらに便利に使いやすくなりました! – ビックカメラ.com?

ビックカメラアプリ1

今回は、同社のアプリがアップデートによりこれまでの課題をクリアできているのか?アップデートされた各機能の狙いは何か?といった観点で、アップデート前後の同社アプリを比較しながら、2回に分けて分析をしたいと思います。

また今回の事例をベースに、昨今増えつつある企業O2Oアプリのリニューアルを成功させるポイントについても、考えてみたいと思います。

前バージョンのアプリの課題

まずは、ビックカメラアプリの以前のバージョンの主な課題について振り返ってみましょう。

※詳細については前回記事(前編後編)をご覧ください。

ビックカメラアプリ2

1.ポイントカードとして使えない

ビックカメラのアプリ上では、ポイントの残高確認のみしか行えずヤマダ電機ヨドバシカメラのアプリのように、アプリをポイントカードの代わりとしてレジで利用する事が出来ません。他社に比べ不便を感じるとのレビューが多くありました。

2.「戻る」ボタンがない(誤ってトップに戻ってしまう)

ショッピングのページへの入り口が2つに分かれており、トップページから進んだ場合「戻る」ボタンがなく、ショッピング中に直前のページに戻れない(トップページに誤って戻ってしまう)という課題があり、改善を求めるレビューが寄せられていました。

ビックカメラアプリ3

3.動作が遅い

ショッピングのページの読み込みに5秒以上かかるケースがあるなど、全体的に動作が遅いとの指摘も多くありました。

ビックカメラアプリ4-

4.ポイントカード会員もネット会員登録をしないと残高確認機能が使えない

ポイント会員情報を引き継いでネット会員登録ができるヤマダ電機アプリなどと違い、ビックカメラアプリの場合、ポイントカードを既に持っている会員であっても、アプリ上で1からネット会員情報の登録を行い、ポイントカード会員情報と紐付け(ポイント共通利用)操作をを行う必要がありました。

ビックカメラアプリ5

5.店舗情報が不足している

店舗情報が「外観、電話番号、営業時間」のみで、フロアガイドやチラシなどその他の情報を確認する事が出来ませんでした。

ビックカメラアプリ6

6.プッシュ通知やクーポンなどの店舗集客機能が不足している

プッシュ通知機能やクーポンなどの機能がアプリに搭載されていませんでした。全体的にECサイトに機能が偏っており、店舗への集客を担う機能が不足していました。

7.動作が不安定・バグがある

店舗検索の「最寄店舗」を押すとアプリが終了してしまう、iOS版アプリでfacebookページへのリンクを押しても、自分のタイムラインしか表示されないなど、明らかなバグが残っている部分がありました。

上記の課題がどの程度解決されているのかも含めて、リニューアルされた同社のアプリを画面/機能別に見てみましょう。

トップ画面やUIの改善:フラットデザイン・ModernUIを採用しデザイン性と操作性を改善

まず、トップ画面のデザインテイストと内容が大幅に変更されています。UIや操作性の観点含め、ポイントに分けて解説しましょう。

ビックカメラアプリ1

(1)iOS 7に準拠したフラットデザインの採用

アプリのデザインは、AppleがiOS 7から推奨している「フラットデザイン(※)」に準拠したものになっています。

フラットデザイン立体感やグラデーションを排除した平坦な画面デザインの事。Appleでは当初より、木や革などの質感の再現を重視した「スキューモーフィズム」と呼ばれるデザインを採用してきたが、トレンドの変化ソフトウェア開発責任者の変更をきっかけに、2013年9月に公開されたiOS7からフラットデザインを採用している。

2014年2月からAppleは、新規に公開またはアップデートを行うアプリに対して、iOS 7への最適化を義務付けしています。iOS 7ではAppleの提示するUIガイドラインが変わっており、見栄えの面含め適切に動作させる上では、事実上フラットデザインへの対応が必須の状態となっています。

ビックカメラアプリでは今回のリニューアルにあたり、アプリのトップ画面や各機能をフラットデザインに対応させています。イメージカラーも以前の白黒ベースの落ち着いたデザインから、ブランドカラーの赤を基調にフラットデザインの特色でもあるビビッドなカラーが採用されており、購買意欲を喚起するアプリとしても、アピール度が上がったように感じられます。

ビックカメラアプリ6

スマートフォンアプリは公開にあたり審査を必要とします。AppleやGoogle(※)の審査ルールが変わると、細かなバグ修正でアップデートをしたい場合などであっても、同時に新たなルールへ対応させることが必要となります。

※GooglePlayにおける審査は、マルウェア(不正プログラム)が含まれていないか等の機械的なチェックのみであり、AppleのApp Storeと比較し審査基準は非常に低く、リジェクト(却下)されるケースは非常に少ない。

審査が不要なホームページ等に比べ手間ではあるものの、スマートフォンアプリにおける審査の存在がアプリの抜本的な改修のきっかけ・必要性を提供し、今回のような大幅リニューアルによる機能改善を後押ししているとも言えそうです。

(2)トップ画面の主要素をウェブサイトからタイル状のボタンに変更

以前のビックカメラアプリでは、起動後に表示されるトップ画面の大半をビックカメラ.comのウェブサイトの表示領域が占めており(※)、他社の大半のアプリで一般的となっている、主要機能のボタンを並べたトップ画面が表示されていませんでした。

2012年4月のアプリリリース当初は、各店舗のTwitter情報を表示する事が目玉機能となっており、表示領域が広めに取られた仕様となっていたが、Twitter社の仕様変更に伴い2013年7月に同機能の提供を中止する事となり、表示領域をそのままビックカメラ.comの表示とするマイナーアップデートを行っていた経緯があった。

バーコード読み取りなど複数の独自機能を持っていたにも関わらず、それらのボタンをメニューバー上にポップアップ表示させる方式を取っており、ユーザーにも各機能が認知されにくかったことが推測されます。

ビックカメラアプリ7

そもそも一般のブラウザで確認できるウェブサイトは、スマートフォンアプリのトップ画面として適切とは言えず、「ブラウザで見るのと変わらない」「アプリ化する意味が少ない」といった主旨のコメントも散見されていました。

今回のリニューアルにあたっては、トップ画面からウェブサイトの表示領域やメニューバーが取り除かれ、ローテーションバナーとボタン類の2領域に整理されています。ボタンのデザインはWindow8等でも採用されている「ModernUI」の流れを汲んだタイル状のUIとなっており、各ボタンサイズが広く取られながらも、すっきりとした分かりやすい画面になっているようです。

ビックカメラアプリ1

またローテーションバナーが新設された事で、最新のキャンペーン情報などを画像で見る事が出来るようになりました。全6種ほどのバナーには詳細情報へのリンクが設置されており、外部ブラウザで確認することができるようになっています。

(3)アプリ全体の操作性の統一

前のバージョンでは、ウェブサイトの「戻る/進む」ボタンが流入経路により表示されないなど、操作性の統一が不十分な印象がありました。

ビックカメラアプリ3

新しいアプリでは、各機能をタップすると下から画面がせりあがり、左上のCloseボタンを押すとトップ画面に戻れる仕様で統一されています。

ビックカメラ20

「ネットショップ」のみCloseボタンの位置に検索フィールドが表示されており、Closeボタンの位置に少々迷いますが、右下の「Menu」をタップするとトップへのリンクを含む複数の機能が分かりやすく表示されており、カバーされています。

ビックカメラ8

全体的にアプリの操作性が統一されており、操作に迷う場面が少なくなっているように感じられます。

以上がトップ画面の主なポイントです。次に、各機能についても確認してみましょう。

ネットショップ:関連機能を1画面にまとめ分かりやすく進化

ボタンの中で最も大きいサイズとなっているのが「ネットショップ」です。タップするとビックカメラ.comのサイトが表示されるのはこれまで同様ですが、一部UIが改善されています。

ビックカメラアプリ14

まず、前のバージョンでメニューバーに設置されていた「検索」の機能が、ネットショップ画面の上部に統合されています。以前に比べ「ネットショップの商品を対象とした検索」であることが直感的に分かりやすくなっているようです。

バーコード読み取り機能には「ライト」が追加されており、暗い場所などでも読み取りが行えるようになりました。

ビックカメラ10

また、以前はポップアップメニューに含まれていた「カート」「お気に入り」などショッピング関連の機能は、右下の「Menu」内に表示されるようになっています。

ビックカメラ8

新着のメルマガを画面上で確認できる「モバイルメルマガ」の機能は廃止されました。代わりにトップ画面から、画像付きの「ニュース」から新商品のニュース等が確認できるようになっているようです。

ビックカメラ11

また、前述の通り前のアプリには「動作が遅い」というレビューも多く寄せられていました。サイト自体は以前と変わっておらず、表示までに数秒を要する時もあるものの、読み込み中の画面表示が以前ほど目立たなくなった事により、「いちいち動作がモタつく」といった印象は軽減されたように感じます。

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細かい点ではありますが、以前取り上げたしまむらアプリ等でも同種のレビューが寄せられており、見逃しがちなポイントと言えるかもしれません。

ポイントカード:登録の流れや機能は前バージョンと同じ/ボタン上に残高を表示

「ポイントカード」をタップすると、前のバージョンと同様、ネット会員への登録を促す画面が表示されます。

ビックカメラアプリ13

会員登録まわりの仕様は以前と変わっておらず、既存のポイントカード会員がアプリ上で残高確認を行いたい場合には、「ネット会員登録」と「ポイント共通利用手続き」を行う必要があるようです。ポイントカードの登録情報が古く現住所や電話番号が変わっている場合には、統合の手続きが行えません。ここで躓いてしまうユーザーは多いのではないかと感じられました。

ビックカメラ15

共通手続きが完了すると、残高情報がボタン上に表示され、トップ画面から一目で残りのポイント数が分かるようになっています。

ビックカメラ15

なお、ポイントカードの利用にあたっては、引き続き実際のカードを持ち歩く必要があるようです。アプリの機能や操作性が上がった事で不満は減るものと想定されますが、カードレス化はユーザーからも一番多く寄せられていた要望ですので、将来的な対応は引き続き望まれるところです。

チラシ:利用時に属性情報の登録が必要 プッシュ通知配信等に活用か

アプリ上で店舗別のチラシをチェックできる機能も新たに追加されました。利用するには、「My店舗登録」が必要となっており、よく行くお店とともに、郵便番号・性別・生年月日などの属性情報を入力する必要があります。

ビックカメラ17

 

My店舗の登録が完了すると、登録した店舗で配布中のチラシを閲覧することができます。

ビックカメラ20

チラシ機能の追加で利便性は上がったものの、他社のアプリでは属性情報の登録なしでチラシを閲覧できるケースが一般的であり、登録に手間・抵抗を感じるユーザーも中には居るのではないでしょうか。ポイントカード機能でログイン済みのユーザーには、郵便番号や生年月日を改めて入力するのは、二度手間なようにも感じられます。

登録画面には「取得した情報はビックカメラからのサービス提供においてのみ使われます。」との表記があるようですが、チラシの提供に店舗選択以外の情報が必要とは思えません。数日間利用してみた限りでは、年齢・性別属性に合った情報の配信などは、確認が出来ませんでした(※)。

※最寄り店舗で使えるクーポン配信あり。後編に記載の予定。

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あくまで推測にはなりますが、同社ではMy店舗登録で取得した属性情報と端末の識別番号を管理する事で、たとえば「都内在住の30代女性のみ限定して美容家電のクーポンとプッシュ通知を配信する」「○○店に登録している近隣在住ユーザーにタイムセールのクーポンを配信する」といった、ターゲットに合わせた効果的な集客施策の実現を考えているのではないでしょうか。

ビックカメラ19

ただもし推測が正しければ、My店舗登録画面に、登録する事によりどのようなメリットやサービスがあるのかを具体的に明記したほうが、より登録率が上がるのではないかと感じました。

また、チラシを閲覧できる店舗(My店舗)が1店舗までしか設定できないこと、店舗情報の画面と連動していない事などは、少し不便にも感じました。都内在住のユーザーなどでは、通勤ルートに複数の立ち寄り店を持つ場合もあると思われます。属性を登録した利用者には、My店舗の複数登録や店舗情報画面からの確認などを行えるようにした方が、より利便性が高まるようにも感じられます。

属性登録のメリットの充実と、その具体的な説明を行っていく事で、ユーザーの理解を促進し、今以上に登録率をアップさせる事・それによる集客効果の向上を図る事が可能になるのではないでしょうか。

前編は以上となります。後編ではクーポン・店舗検索・プッシュ通知などその他の機能や、アプリのアップデートやリニューアルのポイントについても解説いたします。是非ご覧くださいませ。