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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

ビックカメラ公式アプリ(後編):オムニチャネル戦略を加速するショッピング機能中心アプリ その課題と改善点とは?

 Post by MML編集部

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前回の記事では家電業界の現況やビックカメラの取り組み、公式アプリの主要機能について触れました。

後編では、公式アプリのその他の機能・同アプリに対する評価のコメント・課題点や、その改善策について分析をしてみたいと思います。

店舗情報機能:最寄店・指定エリアの店舗を検索

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店舗情報機能は、周辺店舗を地図上に表示する「最寄店検索」と、都道府県名から店舗一覧を表示する「店舗検索」の2つのメニューがあります。

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店舗情報には店舗外観、電話番号、営業時間の記載が表示されており、「マップ」を押すことで地図が、「My店舗登録」を押すことで店舗の登録が出来るようになっています。

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ビックカメラは各店舗が大型店であり、店内には家電製品以外の専門店なども存在しています。

そのような大型店の店舗情報として、「外観、電話、営業時間」のみしか表示されていないのは意外であり、少々勿体無いように感じられます。PC版のサイトに掲載されているフロアガイドチラシの表示があれば、購買意欲をより高めることが出来るでしょう。

また、店舗検索結果の真下に、ビックカメラ.comのトップページが表示されたままになっていることにも少々疑問を感じます。店舗詳細にユーザーが求めるものはネットショップの情報ではなく各店個々の情報であり、店舗側にとってもより理解を得やすいのではないでしょうか。

店舗検索機能は「オンラインtoオフライン」の基本となる機能であり、このアプリがEC専用アプリでない以上、ユーザーの利便性と店頭集客の双方の意味から、表示項目やUIを見直す必要があるかもしれません。

その他:ログイン、問い合わせ、公式facebookページリンク等

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「その他」からはログイン、問い合わせ、facebookページの確認が出来るようになっています。

「ログイン」は、トップ画面上部をタップしたときと同様の、会員属性別のログインメニューが表示されます。ID/パスワードを入力しログイン操作をすることにより、アプリ内でのショッピングやポイント残高の確認が可能となります。ログイン後はボタンが「ログアウト」に切り替わるようになっています。

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「問い合わせ」ではメールでの問い合わせ・店頭に電話での問い合わせが出来るようになっています。

ビックカメラ公式facebook」は、同社の公式facebookページが確認できます。Andorid版では外部ブラウザにより正常にページを見ることができましたが、iOS版ではfacebookアプリが起動するものの、通常の自分のタイムラインが表示されるだけで、ビックカメラのfacebookページは表示されないというバグが見られました。

まずはバグ改修が先決ではありますが、そもそも一般のfacebookページの表示に外部ブラウザ・アプリを利用する必要性は低く、同社アプリからの離脱率を上げてしまうだけのようにも感じます。アプリ内ブラウザで表示する形式に改修する形の方が適しているのではないでしょうか。

ユーザー評価から見える課題:操作性に関し厳しい評価が並ぶ

ここまでビックカメラ公式アプリの機能について触れて来ました。ここからは、アプリの課題点について整理をしながら、改善策についても考えてみたいと思います。

まず、ユーザーがアプリに対しどのような評価をしているのか、App StoreおよびGoogle Playのユーザーレビュー欄を元に触れてみましょう。

App Store・Google Playのユーザーレビュー

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ビックカメラ公式アプリのApp Store・Google Playのユーザーレビュー欄では、App Storeが★1.5(最新バージョン)、Google Playが★3.5(全バージョン平均)となっており、不満や改善点を指摘するものが多く見受けられます。

2014/2/14現在、両最新バージョンに付けられている24件の評価コメントを内容別に分類すると、以下のようになります。

コメントの内容と割合

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※1:最新バージョンへの評価24件のうちApp Storeが18件・ Google Playが6件で、iOS版ユーザーのコメント割合が多い データとなっている。

※2:代表的な指摘について単一選択で分類した。

個々の指摘について触れてみましょう。

「ポイントカードとして使えない」

最も多い(※1)のは「ポイントカードとして利用できない」事に対する不満でした。大半のコメントでは、ヨドバシカメラヤマダ電機のアプリと比較して「他社では出来ているのになぜ」といったニュアンスが併記されており、顧客の流出に繋がっている可能性も懸念されます。

ビックカメラでは、フィーチャーフォンが主流であった2005年から「おサイフケータイ」機能付きの端末向けにポイントカード機能を提供しており、専用のリーダー/ライターに端末をタッチすることでポイントを貯める・使うことが出来るようになっています。同機能はおサイフケータイ対応のAndroid端末で専用アプリをインストールすることでも利用できます。

しかしながら、iPhoneにはおサイフケータイのチップ(FeliCa)が搭載されておらず、代替策の構築も出来ていない状態が続いています。

一方Android端末においても、ポイントカード機能の利用にあたっては公式アプリと別個のおサイフケータイ対応アプリをインストールする必要があります。

今後もiPhoneが日本国内独自の仕様である「おサイフケータイ」を採用する可能性は低いと想定される中では、ヤマダ電機やヨドバシカメラが採用しているバーコード表示方式など、OSを問わずに利用できるポイントカードの仕組みを早期に構築しアプリ内に実装することが、ユーザーの満足度を改善する上での最優先事項といえるでしょう。

「戻る」ボタンがなく不便

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「戻る」ボタンがないとの指摘は、App Store・Google Play双方に見られるものです。

前編でも触れたとおり、「お買い物」から進むと戻るボタンが正常に表示されるようになっており、トップ画面からショッピングページに進んだときのみ発生する問題のようです。

トップ画面には「お買い物」で戻るボタンが表示される位置に「ポイント残高」などが固定で表示されており、「戻る」のほか「お気に入り登録」用のボタン等も表示がされていません。

これはアプリUI設計時点で予見が可能であった課題と言え、ユーザーに買い物をさせる時のフローが「トップ」と「お買い物」の2つに分かれてしまっていることで、ユーザーに混乱を招いている状態とも言えます。

表示面積を考えると、トップ画面に「戻る」ボタン等をこれ以上追加することは望ましいとは言えず、トップ画面は主要機能のボタン等を並べ、戻るボタン等が提供された「お買い物」にショッピングのフローを集約したほうが、ユーザーの混乱を下げられるのではないでしょうか。

遅い、重い、使いにくい:ウェブサイト部分の操作性とアプリ独自機能のなさに課題

また「アプリなのに中身はウェブのままで、動作が遅い」「全般的に使いにくい」「アプリ化する意義が低い」という意見も、双方の利用者から見られます。

スマートフォンアプリには、iOS・Androidのみで構築された「ネイティブアプリ」と、HTML等で作成されたウェブページを表示する「ウェブアプリ(※)」の2種類があり、双方を兼ねたアプリを「ハイブリッドアプリ」と呼びます。

ビックカメラアプリはショッピング機能の大半をスマートフォン向けページをそのまま表示するウェブ形式形で提供しており、ハイブリッドアプリに分類することができます。

※ウェブアプリ: 「ウェブアプリ」は一般にgmailなどブラウザ上で動作するアプリケーションを指す場合も多いが、ここでは、それらを含むウェブページの閲覧機能を中心に構築されたアプリを指すものとする。

ハイブリッドアプリは、すでに構築されたウェブページをそのまま利用できる点、データが一元化され更新がしやすい点がメリットである反面、ネイティブに比べてページの表示が遅く、操作性が低い点がデメリットとなります。実際にビックカメラアプリでも、商品ページの表示に5秒以上かかるようなケースが多く見られました。

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ショッピングサイトをネイティブ化することは一定規模の開発投資が必要になるため、Amazonや楽天などEC大手などのアプリを除きウェブサイトをそのまま表示しているケースが多いのが現状ですが、レビュー欄には両者を比較する以下のようなシビアな意見なども見られました。

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今後EC大手に対抗していく上で、方式を問わず操作性をより改善していく必要があるでしょう。

また操作性と別の要因として、ポイントカード機能などアプリ独自の機能が少ないことから、「そもそもアプリにする意味自体が少ない≒使いにくい」といった指摘を生んでいるケースも、コメント欄上で散見されるようです。

アプリの効果を最大化させるためには、操作性の改善やポイントカード等アプリ独自の機能の追加を通じてユーザーの期待値を満たし、折角の利用機会を失わないようにしていく必要があると言えるでしょう。

その他のコメント:ユーザー登録やログインの不備、一部機能の利用不備など

その他のコメントには、ユーザー登録および登録後のログイン不備等に関するものもありました。前編でも取り上げた複雑な登録フローをユーザーが負担に感じていることの表れであり、登録フローの改善が必要といえるでしょう。

「プッシュ通知」を搭載していないなどの課題も

ユーザー評価および各機能で触れた点以外で気になった点として、「プッシュ通知」機能が実装されていない点が挙げられます。

昨今メールマガジンの開封率低下が指摘されている中、スマートフォンアプリを提供することのメリットとして、アプリをダウンロードしたユーザーに対し「プッシュ通知」を配信できる点が注目されています。

プッシュ通知は、配信できる文字数が限られる反面、メッセージが開封操作なしでスマートフォン上に表示されること・メッセージをタップすることでアプリの起動につなげられることから、メルマガに変わる重要な販促手段に育ちつつあります。

ビックカメラアプリではそのプッシュ通知機能が実装されていません。前編で触れた最新のメルマガをアプリ上から閲覧できる機能はユニークではありますが、あくまでアプリを起動したユーザーの一部が閲覧するプル型の施策であり、十分な効果に繋がっていない可能性があるでしょう。

メルマガや独自のキャンペーン情報などをプッシュ通知でも配信し、アプリの起動を促すことで、効果を一段と高めることが可能になるのではないでしょうか。

まとめ:ブランドスイッチを防ぐためにも改修が急務 双方向O2Oの実現で顧客の囲い込みを

前後編で見てきたとおり、現在のビックカメラには他社アプリと比べ不足する機能があるだけでなく、改修がさほど難しくないUI上の課題などがそのままになっているケースが目立ちます。

iOS版のfacebookページリンクの単純なバグなどのほか、店舗検索の「最寄店舗」を押すとアプリが異常終了するケースなども複数回発生し、動作も不安定に感じられました。

ユーザーの評価コメントを見ても好意的な意見はかなり限られており、期待値を満たせていないことがわかります。中には以下のように他社へのブランドスイッチを示唆するケースもあり、レビューを書き込まないサイレントクレーマーが一定数発生している可能性も強く懸念される状況といえるでしょう。

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MM総研が2013年9月に発表した調査によると、国内の携帯電話利用者のうちスマートフォンが占める割合は2013年9月に42.2%に達したと言われており、同社のポイントカード会員数1,800万(推定)に限っても、800万人以上のアプリ潜在ユーザーが居ると言えます。

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それらのボリュームを考えると、スマートフォンアプリの存在意義をより強く認識し、改修を図っていく必要があるでしょう。

また、アプリのUIや機能がECサイトに偏っており、店頭に集客する機能が不十分なようにも感じられました。他企業のO2Oアプリの殆どで見られるプッシュ通知の機能がないだけでなく、クーポン機能の実装や店舗情報・チラシ情報などへのリンクなど、まだまだ出来ることは多いように感じられます。

O2Oは「オンラインtoオフライン」と訳されることが多いですが、店舗を展開する企業にとっては、ポイントカード会員等オフラインのユーザー資産をアプリユーザー化する「オフラインtoオンライン」の視点も重要と言えます。

アプリの機能・操作性を上げ利用者を維持向上していくことが、ビックカメラ.comなどオンラインの集客にも繋がり、双方の利用を活発化させ“双方向のO2O”を図ることが理想的なオムニチャネル環境の実現に繋がり、売り上げの総和を上げる結果に繋がるのではないでしょうか。

同社のアプリの今後の動向に引き続き注視したいと思います。