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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

ビックカメラ公式アプリ(前編):オムニチャネル戦略を加速するショッピング機能中心アプリ その課題と改善点とは?

 Post by MML編集部

今回は家電量販大手の「ビックカメラ」について、前編後編の2回で取り上げます。ぜひご覧ください。

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ビックカメラ:積極的なM&Aで国内2位グループに踊り出た業界大手

ビックカメラは1968年創業の家電量販チェーンです。ヨドバシカメラと同様、都市部のターミナル駅前を中心に大型店を出店するスタイルで成長を続け、店舗数は40店弱と少数ながらも、単体で業界5位の売上を誇っています。

M&Aや資本提携にも積極的で、過去には当時業界2位のエディオンや九州が地盤のベスト電機などと資本業務提携を行っていたほか(現在は提携を解消)、2010年にパソコン専門店のソフマップを、2012年に当時業界6位だったコジマを買収しており、連結の売上高は8,053億円(25年8月期)と、ヤマダ電機(25年3月期、1兆7,014億円)に次ぐ国内2位に浮上しています。

業界概況とビックカメラの戦略:ECとの競争激化の中、あえてAmazon・楽天などにも出店

ヤマダ電機の回でも触れさせていただいた通り、家電量販業界は現在、家電エコポイントの反動による需要減少や、Amazonを始めとするネット通販との競争により、業績が伸び悩んでいるチェーンが多く見られます。

店舗で商品を選んで安価なネット通販で購入をする「ショールーミング」と呼ばれるスタイルが徐々に浸透しており、最大手のヤマダ電機はネット通販価格への対抗から過度な値引きに走ったことで2013年度の中間決算で初の赤字に転落するなど、一種の構造不況とも呼べる状況が見られています。

そのような中ビックカメラでは、以前より家電量販業界で続けられてきた「(M&Aなどを通じた)規模拡大による購買力の向上」以外にも異業種のアパレル大手ユニクロと組んだ共同出店業態「ビックロ」の展開など様々な取り組みを行っています。

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また、競合する大手ECサイトにも積極的に出店しており、Amazonの「マーケットプレイス」に「ビックカメラ@Amazon.co.jp」を、楽天に「ビックカメラ楽天市場店」を、Yahoo!オークションに「ビックカメラアウトレットYahoo店」を展開しています。打倒Amazonを掲げ自前主義を貫き、自社のECサイトのショッピングモール化を指向するヤマダ電機とは対照的な戦略といえ、オープンかつ柔軟なスタンスでネット通販に取り組んでいることが感じられます。

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ビックカメラは業界全体が苦戦するなか黒字を確保し続けており、2013年8月通期ではおよそ24億の黒字となっています。今後は連結対象のコジマで不採算店の整理を続けつつ、新業態「ビックカメラ×コジマ」の出店を強化することなどで、収益率の向上を狙っていくようです。

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ビックカメラの販促施策:TVCM、ポイントカード、ビックカメラ.com等を展開

ビックカメラでは古くから独特のCMソングでお馴染みのTVCMを大量放映するスタイルで知られています。

また、国内で初めて(1989年4月)ポイントカードを導入したヨドバシカメラに続き、1992年12月には「ビックポイントカード」の提供を開始し、現在では1,800万(※2007年度同社IR資料より抜粋・直近は非公開)以上の会員数を抱えていると推定されます。

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他のポイントサービスとの連携も積極的に行っており、2005年からSuicaと提携しビックカメラSuicaカードを、2012年からはJAL・WAONと提携し「BICCAMERA JMB WAON CARD」を提供し、ビックポイントと各ポイントとの交換などが可能となっています。

オウンドメディアとしては、PC・スマートフォン向けネット通販サイト「ビックカメラ.com」を中心に、上述の通りAmazon、楽天、Yahoo!オークション等大手ECサイトにも出店を行っています。

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ビックカメラアプリ:ショッピング機能を中心に構築されたハイブリッドアプリ

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2012年4月には新たなオウンドメディアとしてビックカメラ公式アプリが公開されています。

主な機能は「ポイント残高確認」「お買い物(ネットショッピング)」「店舗情報(店舗検索)」「My店舗登録」の4つとなっています。

アプリの画面は店舗検索など一部を除きスマートフォン向けサイト(ビックカメラ.com)をそのまま表示する形で提供されています。前回ケンタッキーアプリで触れたのと同様、「ハイブリッドアプリ※」に分類できると言えるでしょう。

※iOSやAndroidで開発されたネイティブアプリ内で、HTMLで構築されたWebサイトやWebアプリを表示するもの。詳細は後編参照。

各機能について触れてみましょう。

トップ画面:ポイント残高やビックカメラ.comの表示など

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起動後に表示されるトップ画面は、上部がポイント残高や「マイショップ」などの固定表示部分、下部がメニューバーとなっており、間の部分が「ビックカメラ.com」のスマートフォン向けウェブサイトとなっています。

このページから商品の購入を行うことも可能ですが、ユーザーレビューなどでは「戻る」ボタンがなく1ページ前に戻ることが出来ず不便だとの指摘も出ているようです。購入の導線は「お買い物」に限定することが望ましいと言えそうです。

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ポイント残高確認:ログインにはネット会員登録が必須手間とメリットのバランスに課題

ポイント残高を確認する場合には、画面上部をタップし利用登録やログイン操作の手続きを行うことが必要となります。利用者の大半を占めるであろうポイントカード会員の場合は、そのままログイン操作を行うことはできず、先にネット会員登録を行ったうえで、ビックポイントカードとの「共通利用手続き」を行う必要があります。

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一度ポイントカードで登録済みである住所等の個人情報を改めてゼロから入力する必要があり、カード会員情報を引き継いでネット会員登録が可能な「YAMADAモバイル」などと比べると、少々手間が大きいように感じられます。

加えて、登録したネット会員情報がポイントカード会員情報と合致しない場合、共有手続きを行うことができず、メール等を除く電話での問い合わせが必要になってしまうようです。

ポイントカード会員にもネット会員登録を強制し統合の手間をかけるフローは、スマートフォン端末の入力のし難さもあり、ライトユーザーにとっては少々敷居が高く、離脱率を上げる原因になっているのではないかと感じられました。

また、このアプリの大きな課題として、ログイン後に利用できる機能が「ポイント残高確認」のみで、「アプリをポイントカードとして利用する」機能が提供されていないことが上げられます(※)。

※フェリカ搭載のAndroid端末では、公式アプリとは別の「ビックポイントケータイ」アプリを使いポイントカード利用が可能

ポイントカードのアプリ化は「カードを常に持ち歩く必要がない」「カード忘れによるポイント不加算を防止できる」点などからユーザーに人気の高い機能と言え、ヤマダ電機やヨドバシカメラを始め多くの企業アプリで実現されています。アプリのレビュー欄にも実装を求める声が多く見られ、ユーザーが不満を持っていることがわかります。

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ビックカメラ側の思惑としては、会員IDの統合によりネットとリアルの境界をなくし、顧客に販売チャネルを意識させない「オムニチャネル戦略」を実現することで、全体の売上を向上したいとの思惑があるのでしょう。

しかしながら、ユーザーがアプリに求めているポイントカード機能が提供されていない状態で、ネット会員登録の手間をある種強制してしまうことによって、反発をより招いてしまい、アプリの利用率を下げるきっかけを作っている面もあるのではないでしょうか。

ポイントシステムの改修は店頭のPOSなども含め大規模な改修となり、簡単に実現しにくいものではありますが、登録の手間の大きさと、それにより得られるメリットのバランスは、ユーザーの意見を真摯に受け止めながら、調整していく必要があると言えるでしょう。

お買い物

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ネット会員登録が完了すると、「お買い物」機能の利用ができるようになります。「お買い物」をタップするとサブメニューが立ち上がるようになっており、各ページに直接遷移できるようになっています。各機能について簡単に触れてみましょう。

(1) SHOPTOP

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ビックカメラ.comのサイトトップが表示されます。アプリのトップ画面と同様のページですが、表示領域が全画面に拡大され、見やすくなっています。また、「戻る」ボタンを使い一つ前のページに戻れるようになっており、トップページから直接進む場合に比べ使いやすくなっています。

商品をタップすると詳細に遷移し、商品の購入やお気に入り登録などが可能になっています。

(2) カート

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サイト上で「カートに入れる」をタップした商品が表示され、購入手続きを進めることができます。

(3) お気に入り

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お気に入り登録を行った商品を一覧で確認することができます。

(4) モバイルメルマガ

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配信しているメルマガの内容が掲載されたページです。最新のメルマガが常時表示される形となっているようです。

画面をタップするとメルマガ内に取り上げられた商品の一覧ページに遷移し、商品が購入できるようになっています。

メルマガの内容をそのまま掲載する機能は他で見られない珍しいUIと言えますが、メルマガの開封率が低下する中そのコンテンツを活用する手段としては、面白い方法と言えるでしょう。

(5) 閲覧履歴

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商品の履歴履歴が一覧で確認でき、タップをすることで該当の商品をチェックすることができます。

(6) 会員メニュー

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個人情報やメールアドレスの変更など、各種手続きができます。

(7) 新着情報

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商品の新着情報やキャンペーン情報などが一覧で掲載されているコーナーです。タップをすることで該当の商品をチェックすることができます。

上記のうち「SHOPTOP」と「ショッピングカート」「会員メニュー」はスマートフォン向けのウェブサイトをそのまま表示する形で提供されていますが、それ以外の一覧機能はネイティブで実装されており、高速な表示が実現されているようです。

検索

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商品名を入力することで、ビックカメラ.comに登録された商品が検索できます。

また、「バーコード検索」をタップすると、商品に付いているバーコードを読み取ることで、ビックカメラ.com上の該当商品ページに遷移することができるようになっています。

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この機能を使うことによって、競合店の店頭などでビックカメラ.comでの販売価格を調べることなどが可能になるだけでなく、たとえば自宅でプリンターのインクがなくなった際などに、型番などを検索せずに該当の商品をワンタッチで表示させることが可能になります。

同様の機能は2011年5月に公開された「Amazonモバイル」などEC系アプリから普及した機能あり、「ショールーミング」化を加速させる代表的な機能として、店舗を持つチェーンから警戒されたこともありました。

現在ではヨドバシカメラを始め複数の家電量販店アプリにも実装されており、ライバル店からネット通販で顧客を奪おうとするスタンスも感じられます。各社のオムニチャネル路線が進み、リアル/ネットの出自を問わず競争が繰り広げられていることの表れともいえるでしょう。